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「歯のばんそこう」の話
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【歯のばんそこうの話】
先日、近畿大学の本津茂樹教授と大阪歯科大学の吉川一志准教授により、1本の歯を虫歯から守ったり、より白く見せることができる極薄の膜を共同開発されました。この「歯のばんそうこう」は耐久性に優れ柔軟性に富むシートであり、歯のエナメル質の主成分であるハイドロキシアパタイト(HA)からできています。
本津教授によると曲げられるHAの極薄シートは世界初とのことであり、なんとシートの厚さは0.004ミリメートル。これを歯の表面に貼ることで保護したり、虫歯予防したり、エナメル質修復などが出来るとのことであります。 シートは透明色ですが着色すれば自分の歯の色と同じように見え、審美歯科治療にも応用できます。
このシート、真空で固形状のHAにレーザー光を照射し粒子を放出させ、塩の上に堆積させた後、塩のみを水で溶かすことにより作られます。シートには微小な穴がたくさんあり、液体や気体を透過させるので歯に装着させる際、気泡などが形成されずに済むとのことです。
本津教授によれば、露出された象牙質をこの「ばんそこう」で覆うという治療の実用化には5年以上かかる見込みだが、審美歯科ならば3年以内にも実用化できるかもしれないといわれています。
知覚過敏症の原因でもある象牙質のむき出し部分に直接貼ることができるので、今後いろいろと活用されそうですね。なお極薄シートが固まるまで1日近く時間がかかるそうなので、これらが改善されれば外来や在宅(訪問)での診療におかれても積極的な処置が施せそうで楽しみです。
すでに特許取得にも動いており、今後の歯科診療に期待がかかります。(2012年10月)
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お手紙、いただきました
世田谷区制80周年記念「たまがわ花火大会」
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【花火大会に行ってきました】
今回はいつもと違って、ソフトタッチのブログです。8月18日診療を急ぎ終らせ、二子玉川で開かれる花火大会に行ってきました。昨年は震災に伴い中止となり、今年は世田谷区制80周年記念と重なり大規模となりました。2年前と違い最寄りの二子玉川駅前から花火会場まで厳しい交通規制が施され、人気アーティストによるコンサートクラスの凄い人垣の中を歩いて約30分,汗だくになりながら現地入りしました。
定刻通り午後7時打ち上げ開始、随所に「たまや~」の声が聞こえ「80」や「世・田・谷」の文字が描かれ「ザ・夏」を満喫しているその瞬間でもありました。光に照らされ輝くステンドグラスのように、カラフルな夢花火が夜空を埋め尽くしています。
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訪問診療【その11】
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【訪問診療】(その11)
今回ご紹介させていただく患者さまは, 訪問看護師からご依頼いただいた70歳代・要介護度5の女性です。脊髄小脳変性症および認知症等に罹患しており, 初診時の口内は強い口臭が伴う歯周病とむし歯が存在し舌の上にも舌苔が付着していました。居宅で約1年7か月診療させていただき, その後施設に移られ現在も受診されています。継続的に処置を受けられ5年めに入りましたが「以前は肺炎を何度もおこし入退院を繰り返したが, 口の中を診てもらってからは肺炎がまったくなくなった」というお言葉を患者さまのご主人さまから拝聴し,とても喜ばしい瞬間でもありました。施設内においても先ず高等看護師による血圧測定を行い, 口内に堆積している食物残渣や口蓋に付着した汚れなどを取り除きます(写真1と2)。歯垢や頑固な歯石等も除去し消毒を施してからベッドサイドに備えられている吸引器で口内全体をきれいにしてから赤く腫れている歯肉病変部に対し抗生物質を塗布します(写真3)。療養生活が長引くとストレスなどで全身の抵抗力が落ちて, むし歯や口内炎、歯周病などが進行する可能性もあります。また口の中の細菌が肺に入ることにより誤嚥性肺炎を引き起こすこともあるので, 今後もしっかりと口腔内のケアとキュアを同時進行で施していきたいと思います。(2012年7月)
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訪問診療【その10】
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【訪問診療】(その10)
患者さまは, 在宅診療をされている内科の先生からご紹介いただいた80歳代の男性です。
初診時の口の中の状態は, 歯が欠けたり歯根が残ったままの状態で細菌感染していました。また赤く腫れた病的な歯周ポケットが拡がっており, 骨レベルは低下し揺れている歯もありました。血圧の変動もありうるので, 高等看護師による血圧測定を施してから歯科診療に入ります(写真1)。
歯周病の治療と同時進行でむし歯の処置もおこない(写真2)、症状もだいぶ落ち着いてきたので上下顎に部分義歯をお入れすることになりました。ワイヤー等を曲げた「バネ付きの義歯」だと種々口内への負担が生じやすいので, 今回は取り外しができて歯に対してもやさしい「バネなしの義歯」をお作りしました(写真3の右側)。
義歯が装着されて半年以上経ちましたが, とても上手に使いこなされております。紳士的に接していただける患者さまは長年教鞭をとられていた方であり, またいつも楽しいお話を聞かせていただける奥さまのサポートにも感謝申しあげます。(2012年7月) |